ちびーずの舞台で心洗われたアラサーの話
今回は、タイトル通りなんの捻りもなく、ただただアラサーのOLが、Sexy Zoneの年下組、すなわち"ちびーず"と呼ばれる3人のうち、松島聡さんと佐藤勝利さんの舞台を観劇した際に感じたことの備忘録です。
いずれの舞台もコロナによる公演中止を乗り越え、こどもの一生は先日大千穐楽を無事迎え、Endless SHOCK -Eternal-も来週がいよいよ帝劇の大千穐楽となりました。
どうしようもなく胸打たれた、この気持ちを留めておきたい。Eternalの公演再開を祝し、大千穐楽を迎える前に、思い切って筆を執りました。
今回はこんな感じでお話ししようかなと!
舞台の内容とか考察は詳しい方にお任せするとして、私はひたすら好きな人の好きな芝居について、あくまでも自分が感じたことを徒然なるままに語りたいと思います。
(こどもの一生は既に千穐楽を迎えましたが、SHOCKはまだ公演中ですので、ネタバレNGの方はご注意ください…!)
わたしと舞台
すごくどうでも良いのでここは流し読み or 読み飛ばしぐらいでサラッと進めていただきたいのですが、私は舞台が大好きな人間です。
とは言え、年に何百回も観劇するわけでもないし、チケット入手困難な公演でも難なく観劇できてしまうようなコネのある舞台通でもありません。
高校時代に校外学習で観た劇団四季に感化され、大学時代にがっつり宝塚歌劇にハマり、現在は年に数回程度劇場に足を運んでいる、そんな人間です。
同じ内容でも、観る度に演者さんの台詞回しや立ち振る舞いが異なるし、時にはナマモノだからこそのプチハプニングの瞬間に立ち会えて、ちょっと得した気分になったり。
舞台って生きていくのに絶対必要なものではないけれど、ひとつ観る度ひとつ心が豊かになったような気持ちになれるところが、何より好きです。
要するに何が言いたいかと言うと、そんな訳で誰が出ているなど関係なく私は舞台が好きだから、今回ストレートプレイとミュージカルというジャンルの異なる2つの舞台に触れられたことが本当に嬉しく、且つそれにより少し心が豊かになったという、そんなお話です。
こどもの一生
観劇したのは、からりとよく晴れたGW中のとある日。
聡ちゃん自身もコロナに罹患され、公演再開が決まった日のブログ、聡ちゃんのことだから舞台が中止になったことへのお詫びなどが綴られてるのだと思ったら(もちろん誰も悪くはないのですが、責任感が人一倍強い彼のことなので)、ただ一言、
いろんな想いを胸に、また全身全霊で頑張っていきます
逆にそれが、聡ちゃんの静かな、でも確固たる覚悟を物語ってる気がして、絶対に舞台に生きる松島聡をこの目に焼き付けるぞ…!と身の引き締まる思いで席に着きました。
原作も読まず、事前知識ゼロで臨んだ私が抱いた柿沼の印象は、ワガママ放題でも就活全落ちから自分を救ってくれた社長にNOと言うことができず、でも反発する気持ちはあり、だけど他の人たちとの関係性も保ちたい。そんなある種"普通"のサラリーマン。
社会で生きていく上では沢山の人との関わりがあるけど、やっぱり誰だってみんなと上手くやっていきたい。そういう八方美人的な部分を持ってる人って、決して少なくないと思う。もちろん私含め。
そんな、何気なく日常生活のワンシーンを切り取ったらその中に1人は存在していそうな、あぁ〜いるいるこんな人!という人物をごく当たり前に演じるのが、松島聡は本当に上手い。
いや、最早"演じる"という言葉すらもそぐわない。細かすぎると客席からは何してるのか見えないし、かと言ってやりすぎると途端に白けちゃう。その匙加減が絶妙で、松島聡が柿沼という人物を演じるというより、柿沼という人物をこの場に連れてきた、まさにそんな感じ。
設定自体は結構突拍子もないし、登場人物は揃いも揃ってクセ強だけど、柿沼という日常生活でふらっと出会えそうな人物がいてくれることで、架空の物語にリアリティが生まれる。
だからこそ、物語の後半3分の1のホラー部分が、あたかも自分の身に起こっているかのようにリアルに感じられるんじゃないかなと。
(私は流石に叫びこそしなかったものの、あまりの怖さに何度もビクッとなってしまいました…後ろの席の方、本当に申し訳ない…でもよく誰も叫ばなかったなと思うぐらい、まじで怖かった…)
聡ちゃんは『ガラスの仮面』の北島マヤみたいだというご意見をちらほらお見かけして、すごく納得した。
もちろんそれは聡ちゃん自身の努力があってこそなのだけど、彼のお芝居のスタイルは、確かにめちゃくちゃマヤっぽいなと思いました。
北島マヤ型演技の松島聡による二重人格の演じ分けは、それはもう見事の一言。
表の柿沼は、誰に対してもNOと言えず、周りとの調和を取ろうとするちょっと気弱な男性。片や裏の柿沼は、言葉遣いは粗野で、武道に長けており、見るからに荒々しい男性。
表情や声色をただ変えるだけでなく、纏う雰囲気すらもガラリと変えてしまう。
それをたった2時間の舞台の上で、何度もこなしてしまう松島聡、やはり只者ではない……(何だか気軽に聡ちゃんなんて呼べず、一周回ってフルネームになってしまう……)
私が上手いなぁ…と惹きつけられたのは、何気ない瞬間瞬間のお芝居。
特に他の人にスポットが当たっている時の柿沼の反応がすごく自然で、でもくるくると変わっていく表情がとっても豊かで、袖で繰り広げられるような小芝居好きな私には、非常に刺さりました…
誰かと会話をするシーンでもそうなのだけど、聡ちゃんってものすごく丁寧に、その時発言してる人のことを見てる。
前回の舞台を観ていないから、それが柿沼の役作りと言われればそれまでなのだけど、何となくそこには真面目で丁寧で穏やかな聡ちゃん自身のお人柄が滲み出てるような気がして、相手とのキャッチボールを大切に演じる聡ちゃんの心意気を感じました。
コミカルはとことんコミカルに。それこそメンバーと一緒にいる時にふざける聡ちゃんが顔を覗かせたり、他の演者さんとの掛け合いのテンポ感も最高で。
ホラーはとことんホラーに。特に山田のおじさんが突如診療所にやってきて、こどもたち一人一人に話しかけるシーンでの恐怖で凍りついた表情がリアルで絶品でした。
山田のおじさんが見るからにではなく、サイコパス的な狂気を持ってるってところに真の怖さがある作品なので、それを表現し切ったROLLYさんがまず天晴れなのですが、とにかくコミカルとホラーのメリハリがパキッとしているから、(他のお客様の迷惑にならない程度に)盛大に笑い盛大に恐れ、物語としてより楽しめました。
その他個人的な好きポイントは、演者さんがご自身で小道具を動かす演出だったこと。聡ちゃんがいそいそと机や椅子を動かす姿を見て、主役が椅子持ってるよ…!と変なところで妙に興奮してしまいました(笑)
それからダンスがまた、まぁ上手いこと。知ってたけど。ストレートプレイなので歌はないけどまさかのダンスありで、しかも踊るとやっぱりキレが凄くて。聡ちゃんのダンスって身体の使い方がとにかくしなやかで美しくて、シンプルな動きこそ映えるんだよなぁ…
怖い怖いと聞いてきたこどもの一生。予想以上にほんとに怖かった(笑)
代役やコロナ、様々なことを乗り越え、沢山の想いを胸に、立派に座長を務め上げたこの舞台。その場に立ち会うことができて、本当に幸せでした。
Endless SHOCK -Eternal-
こどもの一生から約1週間後に観劇したこちら。
Endless SHOCKは今回配信で初めて拝見したので、当然ながらEternalも初めて。
本当にまっさらな状態で観劇したので、"コウイチのライバルはこういう役"という先入観なく楽しめました。
まず初っ端から、オープニングのNEW HORIZONで華々しく登場したショウリがあまりにも煌めいて眩しくて、号泣してしまった。
(個人的に、曲が底抜けに明るいほど何故だか涙が出てきてしまうあるあるなんですが、皆さんそんなことないですか?この現象に名前付けたい……)
冷静に考えると、大の大人が客席で1人号泣してる図…こわ…
配信で本編を観た時にも感じたこと。
佐藤勝利の悩んで、苦しんで、もがいて、傷ついて、ボロボロになる芝居は、抜群に良いぞ。
あれだけ美しい顔面をお持ちで外見がシュッとしている分スマートな印象を抱きがちだけど、実は誰よりも人間臭い。
こういうものって頑張ればいいという話でもないんですが、ただ、僕は実力が伴っていないという不安のほうが大きくて、それを埋めたいという気持ちがありました。練習することで、一歩ずつ怖さがなくなっていく。基礎、土台がなかったら舞台もできない、と思って早めから準備をしてきたんです
(週刊朝日5月20号インタビューより)
ブロードウェイという場所で、ミュージカルの舞台に立つ者として上を目指したいという根本にある想いは仲間と同じなのに、コウイチに追いつきたくて追い越したいという気持ちや彼自身の不器用さ故に1人突っ走ってしまって、でも仲間がついてこないことに気付いてもいて、だけどどうして良いかわからずもがいてる…
上でご紹介したインタビュー内容も相まって、ショウリという人物は、泥臭く一歩ずつ進んでいく佐藤勝利そのものというか、本当に佐藤勝利の魅力が全部詰まってるなと、そう感じました。
苦悩する勝利は最高だけど、それ以外の勝利だってもちろん素晴らしい。
勝利って、下唇をちょっと噛んで、はにかんだような笑顔をよく見せる。
私はそんな勝利の笑顔が大好きなのだけど、今回は帝国劇場の舞台、Higherの場面で、そんな笑顔に出会えました。
特にEternalのショウリは、コウイチを殺めてしまったことでずっと苦しんでるからこそ、やっと見せる笑顔に、なんかこう、グッときちゃうんだな…
物語も終盤に差し掛かってきてただでさえしんどい頃合いだろうし、加えてこの時は公演スケジュール的に休演日が特に少ない期間で、且つ終演後はセクゾのライブリハを同時並行、演出変更により急遽増えたダンスシーンの振り入れも…と多忙を極めていたこともあって、明らかに相当疲れてるんだろうなと一目でわかってしまった。
だけど、そんな中でも、私の大好きな笑顔を見せて力強く踊るショウリは紛れもなく勝利自身で、あぁこの人は本当に舞台に立つのが心底好きなんだなぁって、その姿に何だか無性に泣けてしまった。
そこからラストにかけて、コウイチと共に立つ最後の舞台でのショウリは、最後の力を振り絞り、歯を食いしばって顔をぐしゃぐしゃにしながら太鼓を叩き、力の限り踊る。
思わず圧倒されてしまうほど、その全身からほとばしるエネルギーは凄まじく、鬼気迫るものがありました。
初めてお芝居をした時、あまりのできなさに悔しくて、もう演技の仕事は来ないかもしれないと思ったこともあったというようなことを、過去のインタビューで語っていた。
自分の実力で立てたわけじゃないからと、自ら帝国劇場の舞台を降りた過去もあった。
こんなのはほんの一部のことで、きっともっと沢山の出来事や想いを抱えているのだろうと思うけども、それでも、それらを受け入れて乗り越えて、またこうして帝国劇場に帰ってきた佐藤勝利は、最高に輝いていました。
配信、劇場と比較的短いスパンで同じシリーズの作品を観たことで、作品を通してメキメキと成長する勝利の姿を目の当たりにできたことも、凄く良かった。
ミュージカルって誰もが無条件に楽しめて、やっぱり素晴らしいなぁと改めて感じました。
ストレートプレイとミュージカル。
フィールドは全く異なるけども、それぞれの場所で魂を削って舞台に立つ松島聡と佐藤勝利の姿に何かに夢中になるって素晴らしいなって、晴れやかな気持ちとたっぷりの活力をいただきました。
非日常の世界に束の間足を踏み入れ、数時間後にはちょっと違った自分になって、また現実世界へ戻ってくる。
そんな儚さもまた、舞台の醍醐味かもしれません。
何にせよ、舞台は良い。
そこに好きな人が出ているならば、もっと良い。
これからも、板の上に立つメンバーに出会えますようにと願いを込めて、本日もお読みくださり、ありがとうございました!!